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競馬バラッド

日曜日に菊花賞がある。案の定僕の秋競馬は連敗街道を歩み始めているものの、毎週毎週大きいレースが続くものだから外したとしても月曜日の朝には何のその。散々後の祭りを踊ったこともケロッと忘れ「次のG1を当てればいい」と切り替わる。性懲りもない競馬ファンのサガだが、一方で逆境に対してどのように振る舞えばいいかを教えてくれるのは競馬の魅力だ。と、そのような言い訳を思いついたものの、やっぱりこの大きいレースが続き、気がついた時には年を越しているという競馬の日程が悪い。何せG1は毎週続くのでイチイチ悔やんでいても仕方がないのだ。

 

菊花賞は3歳馬が3000メートルを走る。3000超のレースは日本競馬にはわずかしかない。かつて「最も強い馬が勝つ」と言われたレース。過酷な長距離だ。強い者が勝ち、勝ったものが強いのは勝負の世界では当然だが、この距離を走るということは肉体的な能力だけでなく完全な精神が求められる。力を入れすぎては走りきれないし、穏やかなままでは勝つことはできない。「最も強い」とはそのようなことも意味しているはずである。長距離レースはまるでバラッド。吠えて叫ぶだけでは勝負にならないが、そんなことは及ばないほどの狂気と暴力性を内在させておかなければならない。競馬の大きな魅力は普段は決して目に見えないものを、形として、具体的に、見せつけてくること。それを賭けという行為で、自分の記憶にも体験にも出来る。

 

去年の菊花賞は大雨の影響でそれは見たこともないような過酷なレースだった。例えるバラッドは僕には思いつかなかった。オルフェーヴルゴールドシップは凶暴性を抑えきれず(きらず)破格のレースをした。これも例えようがない。例えようもないものを見られることも大きな魅力だ。長距離レース不要論もあるらしい昨今だが、それは味覚5種のうちのひとつを捨て去るようなもの。味わいは多いほうがいいに決まっている。